前世
あたしの 犬 前世は あなただったの でもあなたの 猫 前世は あたしじゃない 多分 観覧車の上 白昼の 睦言 雪山が見える あとは 黙っている 言葉より 烈しく 深い 沈黙に 圧倒されて 地上に 戻ってくるまで
「前世」 谷川俊太郎