故郷
タマシヒのこの世での故郷は音楽 耳に聞こえる音が描く見えない地平を越えて タマシヒは帰ってゆく どこまで帰るのだろうとヒトは訝(いぶか)る この世での故郷の先に あの世での故郷があるのではないか タマシヒは多分それを知っている そう思ってヒトはもどかしく 寂しく楽しい
「故郷」 谷川俊太郎