性的少年 13 |
僕は足音を立てないように走るのをやめ、忍び足で歩いた。おまじないはやっぱりこれからも効かないだろう。あともうちょっとのところで逆転負けした気分だ。幸いにも永嶋くんは僕に気づいていないようだった。うまく、公園の端にある木陰までたどり着き、僕はそのまま帰ればいいものの、そこからこっそりと永嶋くんの様子を伺った。ブランコに座っている。漕ぐでもなく、ただベンチ代わりに使っている。足で軽く地面を蹴って、揺り椅子のようだ。ブランコとして用いていない。元気がないな、落ち込んでいるのかなと感じられて、そんな永嶋くんを見たことがないからついつい見入ってしまった。次の瞬間、永嶋くんは両手で顔を押さえて泣き出した。僕はびっくりして、「ええっ!?」と声を出してしまった。幸い、これも永嶋くんには気づかれなかった。ゴール間近で思わぬ光景に出会ってしまった。いじめっ子のリーダー格である永嶋くんになにがあったんだろう? ここ最近の永嶋くんは僕への攻撃やちょっかいをいじめっ子副リーダーの多田くんに任せきりだった。普段強い立場にある永嶋くんの泣いている姿は僕の心に、好奇心と怖さと、なんとなくほっておけない気持ちを生んでいた。しばらく立ちつくしていたが「いける!」という確信もあり、意を決して話しかけることにした。そーっとブランコまで近づく。永嶋くんも僕の気配に気づいたようだ。
「永嶋くん」
恐る恐る呼んでみた。声で僕とわかったようで、上げた顔は僕をにらんでいた。僕は一瞬たじろぎ、話しかけなければよかったなと少し後悔した。でもなにも話さないわけにもいかず、このまま逃げるのも明日以降の生活に影響が出そうなので頑張った。
「大、丈夫?」
そう言うと、
「絶対に言うなよ」
「うん、わかった」
なにがあったのか聞いた。永嶋くんは、僕に泣き顔を見られたせいなのか、素直だった。
「俺、転校するかもしんない」
「え?」
僕は寂しそうな顔を心がけて、心の中で喜んだ。
「名字も変わるかもしれない」
「それって・・・・・・」




















