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性的少年 11

 朝、僕がムシャムシャ朝ごはんを食べていると、お姉ちゃんはまだ半分以上残っているのに「ごちそうさまっ」と、学校へ行ってしまった。お姉ちゃん、機嫌悪いなあ。例の「生理」かな? お兄ちゃんは今日も元気がない。全然ごはんが進んでいない。どうしたんだろう? 心配だな。昨日よりも落ち着きがない。お母さんも心配している。
  「あら、食欲ないじゃない。具合悪い? 学校休む?」
  「いや、大丈夫」
  お兄ちゃんはそう言うものの、大丈夫じゃなさそう。お母さんと目も合わせない。

 今日も人より6倍のランドセルを背負った後、永嶋くんと口も聞かずにしばらく歩いてから帰ると、珍しくお兄ちゃんが僕よりも早く帰っていた。僕はお兄ちゃんの具合が心配なのと、お兄ちゃんとお姉ちゃんが愛し合っているのか気になって授業が身に入らなかったけど、お昼には上履きを探すのに夢中でそんなに気にはならなかった。
  お母さんに聞いたら、お兄ちゃんは部屋にいるらしい。お姉ちゃんも帰っていた。お腹が痛くて部屋で横になっているらしい。
  お兄ちゃんがいるから保健体育の教科書と裸の女の人がたくさん出ている参考書は持ってこれなかったので、この日の夕方はおやつを食べてテレビを観たりだらだら過ごした。
  晩ごはんの食卓は活気がなかった。お姉ちゃんは調子悪そうだしなんかイライラしているし、お兄ちゃんも口数が少なく、なにかを警戒しているようだった。
  晩ごはんを食べ終わったあと、僕はお兄ちゃんの部屋を訪ねた。昨日から気になっていることを質問するためだ。
  「お兄ちゃん、僕だけど入るよ」
  「おう、なんだよ?」
  珍しく中に入れてくれた。
  「ここ2~3日、元気ないけど大丈夫?」
  「おお。それよりお前、俺の部屋に入ってないよな?」
  「え? ……入ってないよ」
  「なら、いいんだけどさ」
  あぶないあぶない。僕は話題を変える意味でも、気になっていたもうひとつのことを質問することにした。聞くと、お姉ちゃんとはそんなことしていないらしい。「バカ言ってんじゃねえ」「気持ち悪りいこと言うんじゃねえ」と頭をひっぱたかれた。じゃあお姉ちゃん以外の人とはしたことないの? って聞いたら、「うるせえ」と言って部屋から追い出された。「『お姉ちゃんとはやったことある』みたいな言い方をするんじゃねえ」と言って蹴られた。僕らの会話が聞こえていたらしく、お姉ちゃんが部屋から出てきて床に倒れている僕を蹴った。そのあと踏んだ。僕は負けずに「ねえ、女版ちんちんてどうなっているの?」って聞いたけど、ただ蹴られるだけだった。お母さんに騒いでないで早くお風呂に入りなさいと叱られた。僕はお風呂に逃げ込み、そのまま今日一日の疲れを癒した。さっき作ったすり傷がしみた。
  明日も学校だ。洗面所で歯を磨いたあと、台所に寄ってマグネットで冷蔵庫にはりつけてある給食の献立を確認した。明日は特に横取りされそうなものは出ないな。そして今日最後のおしっこをして部屋に戻った。忘れ物をしないように時間割を見て明日の授業をチェックする。それに合わせて教科書やノートをランドセルに入れていく。でもカバンを持たされることを考えると、できるだけ自分の持ち物は軽くしたい。だから今僕がやっていることは、忘れ物がないかチェックするというより、忘れても差し支えないものを選んでそれをランドセルに入れないという作業だ。
  窓を開けて星空を見上げ、そして目をつむる。明日はいじめられませんように。眠りにつく前にやる、いつものおまじない。あまり効き目はない。




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