性的少年 7 |
今日もそこそこいじめられて学校から帰ると、おやつも食べずに部屋に行った。子供を作る場面のイラストがずっと頭から離れなくて授業が身に入らなかったけれど、みんなからの攻撃とカバンの重みが忘れさせてくれた。みんなと別れて永嶋くんとふたりきりになったあとのしばらく続く沈黙にもちょっとずつ慣れてきた。
今から思う存分、気になっていたことを気にできる。机の中に隠していた例の本を取り出し、昨日みたくベッドの中に潜り込んだ。隙間を作って光を入れて、保健体育の教科書と裸の女の人がたくさん出てくる本を交互に見る。何度も見る。パラパラ、ガサガサとページをめくりながら何度も見る。ん~? なんだあ? うーん。
一生懸命考えていたら、急に頭の中が軽くなった気がした。
「ああっ!!」
僕は気配を消していたにも関わらず、大きな声をあげてしまった。
わかったぞ、お兄ちゃんの部屋から持ってきた、裸の女の人がいっぱい出ている本に載っている男の人と女の人、あれ、子供を作っているんだ! 僕は急いで裸の本を開いた。それらしきページを見つけるため、目にもとまらぬ速さでめくった。掛け布団が邪魔してめくりずらかったけど、見つけるのにそう時間はかからなかった。これだ。あったあった。裸の男の人が裸の女の人の上に乗っかっていて、まさに「赤ちゃんはどこからくるの?」のイラストとうりふたつだ。顔の表情は全然違うけど、そっか、この人たち、赤ちゃんを作っていたんだ。
この写真は「投稿ページ」というコーナーに載っていて、男の人のコメントによると、この女の人は奥さんなんだって。てことはこのふたりは夫婦なのだ。そりゃあ子供を作るわけだ。いけないことをしているんじゃないかと思っていたから僕は安心した。なんだ、お兄ちゃんは保健体育を勉強するためにこの本を持っていたんだな。たしか「参考書」ってやつだ。僕はカン違いをしていた。これなら警察にバレても大丈夫だ。むしろ、こちらから教えてあげないといけないかもしれない。頑張っているお兄ちゃんを表彰してほしいくらいだ。そうなると僕も鼻が高い。いじめもなくなるかもしれない。
でも、このコーナーに載っている人たちの目に黒い線が入っているのはなんでなんだろう? 保健室の掲示板に貼られているニキビのポスターにも、目に線が入っているし、それと同じでプライバシーの保護というやつなのかもしれない。
僕はお兄ちゃんが悪いことをしていなかったことと、謎が解けたことがうれしくて気分がよくなった。裸の女の人がたくさん出ている本を隠す必要はもうない。僕はお兄ちゃんの部屋へ行き、保健体育の教科書は机の引き出しに戻し、参考書は机の上に置いた。
すると、「ただいまー」とお兄ちゃんの声が聞こえ、階段から誰かが昇ってくる足音が聞こえてきた。お兄ちゃんが来る。部屋にいたことがバレたらこっぴどく怒られちゃう。僕は急いでお兄ちゃんの部屋を出て自分の部屋の中に入り、お兄ちゃんが通りすぎたのを見計らってドアを開けた。
「おかえり、お兄ちゃん」
「おお、ただいま」
ドキドキしたけど、僕の顔は自然と微笑んでいた。お兄ちゃんが部屋に入るのを見届けて、リビングに行っておやつを食べた。




















